犬猫の鼻血は要注意です!!

副院長の佳瑛子です。

私は、小さい頃よーーーく鼻血を出していました。

そして私の娘も、よく鼻血が固まった状態で起きてきます。

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この姿・・・大人になったら晒してることを怒られるかもですね。笑

ヒトで鼻血も出続けたら心配ですが・・

犬・猫で鼻血がみられたら様子見しないほうがいい場合もあります。

鼻血の原因は、様々で、外傷、異物、長期の感染症(鼻炎が続いてる状態)、腫瘍、ポ

リープ、歯牙疾患、凝固異常などが挙げられます。

鼻血がでてしまった場合は、片側から出ているのか、両側からでているのかを観察して

ください。

中年齢~高年齢で鼻出血が見られた場合は、状況によっては、大学などでCT検査をお

勧めする場合もあります。

もし、ご自宅で鼻血を見かけたら、様子を見ずにまずは動物病院を受診下さいね♪

眼科検診って何やるの?

副院長の佳瑛子です。

今日は、とても寒いですね~。と言っても、12月に自転車に乗れるのは嬉しいです。

去年までいた北海道では、この時期、自転車には乗れなかったので子供はそり🛷に乗せ

て保育園へ連れて行ってました!

 

先月までは、心臓検診キャンペーンを行っていましたが、今月から来月まで眼科検診を

実施しています。

皆さん、わんちゃんねこちゃんと毎日アイコンタクトをとっていますか?

お話のできない犬・猫にとって飼い主さんとコミュニケーションをとる上でとても重要

な器官です。

今回の眼科検診は、、

【神経学的検査・涙液量検査・眼圧検査・スリットランプ検査・散瞳後の眼底検査】

の大きく5項目の検査を実施します。所要時間は20分から30分程です。

検査の内容をお話していきますね。

まずは、【神経学的検査】です。

眼瞼反射:眼の周りを少し触り瞬きが出来るかを確認します。

威嚇反射:眼の前に急にものがかざされた時に、瞬きをするかを確認します。

対光反射:眼に光を当てた時に、瞳孔が小さくなるかどうかを見ています。

眩目反射:まぶしい光が急に眼に入ったときに、瞬目などの防御反応が正常に起こるか

     どうかを見ています。

神経学的検査では、眼が見えているかどうか、眼のどの部位に異常があるのかを調べることが出来ます。

【涙液量検査】

涙液量検査は、眼の中に特別な試験紙を挟み1分間にでる涙の量を測定します。

ヒトでいう、ドライアイの有無がわかります。

【眼圧検査】

眼は、球体を保つために房水が流れています。

その圧を測定することで、緑内障の有無や炎症の有無がわかります。

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【スリットランプ検査】

眼の表面~水晶体までの病変をチェックすることができます。

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【眼底検査】

散瞳剤を滴下し15分程経ってから検査します。

網膜の状態を確認することができます。

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以上の検査から、総合的に今の眼の状態を評価し、お伝えしていきます。

痛い検査はありませんのでご安心を🎵

最近、眼が白いなぁ~、常に目ヤニがでるなぁ。など・・

なんとなく気になってることがあるな。

なんてことがありましたら、このタイミングに是非眼科検診をご検討下さい!

 

今年もあとわずかですね!

コロナに負けずに年を越しましょう☆☆

そした、当院は12月31日の午前まで診療しております。

年始は1月6日からです。よろしくお願い致します。

お薬やお食事はお早めに。

 

自宅の大掃除は、いつやろうかしら。笑

掃除をしてもすぐに散らかり、、なんで?と悲しくなります。

その前にクリスマス🎄サンタさん、、、早くトイザらスに行かなくっちゃです。

眼が痛い~自発性慢性角膜上皮欠損(SCCEDs:スケッズ)~

副院長の佳瑛子です。

毎回、副院長の~と言ってますが、病院で副院長!と呼ばれることはなく、佳瑛子(かえこ)先生と呼ばれています。ので、女の先生orかえこ先生で大丈夫です。

 

今日の題名は、何とも長い病名になっていますが、眼の病気についてのお話です。

自発性慢性角膜上皮欠損、通称スケッズは、簡単に言うと繰り返す角膜潰瘍(角

膜の傷)です。

角膜は、大きく分けると4層(上皮⇒実質⇒デスメ膜⇒内皮)からなっています。

角膜潰瘍は、その傷のできる深さや場所で治療方法も異なってきます。

一番表面の上皮が傷ついてしまうことは、よくあるのですが、基本は7~10日間程で

治ってきます。

しかし、スケッズの場合は、軽傷であるはずの角膜上皮の傷が治らない・・

厳密にいうと治ってみえるけども、またすぐ角膜上皮がめくれてしまう病気です。

病態としては、角膜上皮と実質の接着障害によって起こります。

治そうと上皮がのっかてきても引っつかない状態です。

犬種的には、ボクサー、ボストン・テリア、フレンチ・ブルドッグコーギー、ゴール

デン・レトリーバーなどに好発します。

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滅菌綿棒でこすっています。上皮がめくれていくのが見えますか?

 点眼処置だけでは、なかなか治らない角膜潰瘍の場合に、スケッズを疑います。

治療としてはまずは、上の写真のように、綿棒で角膜上皮を取り除く処置を行

います。

その後、注射針の先端を曲げ角膜上皮に傷をいれます。

(格子状角膜切開術といいます。)

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注射針を用いて角膜上皮に傷をいれます。

この様に、角膜にわざと傷をいれることで、角膜上皮が実質にひっかかりやすくなり

角膜潰瘍が修復していきます。

点眼麻酔にて実施することも可能ですが、動いてしまう場合は鎮静下で処置することも

あります。

処置後はしばらく痛みが出るのでコンタクトレンズエリザベスカラーの装着、点眼処

置の実施をお願いしています。

皆さん、急激に寒くなっています。体調には気を付けてお過ごしください!

犬猫の嘔吐・下痢・猫ちゃんの風邪が多く見られています。

膀胱炎も多くなる時期です。おかしいなと感じたら早めにいらして下さいね♪

 

強い皮膚の痒み~疥癬(かいせん)編~

副院長の佳瑛子です。

今季一番の冷え込みと言ってますね。けれど来週は少し暖かいようです🎵

皆さん、体調の変化なく過ごされていますか?

 

痒み・・は、ヒトでもつらいですが犬猫も同じです。

我が家の下の息子は1歳前から皮膚が弱く、今でも保湿を忘れると、お腹と背中にプツ

プツと湿疹が出始めます。

彼は、大人と違って「掻いたら悪化するし、掻くのやめておこう・・」なんて思いませ

んので 夜も寝ながらバリバリ掻いて出血し、朝にはほっぺに血が固まった状態で起きて

くることもあります(;'∀')

犬猫も子供と同じく、痒いので掻く!!出血するほど掻いてしまう事も少なくありませ

ん。

この猫ちゃんもとても痒く痒く、、

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ボコボコした皮膚になってました。

私たちの病院では、皮膚に病変があった場合は、セロハンテープでペタペタし検査した

り、被毛を抜いて検査したり、時には病変部を掘るようにゴリゴリと掻把(そうは)検

査や培養検査を行い、原因を調べ、それにあった治療を行うようにしています。

この子に関しても、セロハンテープ検査と抜毛検査、皮膚糸状菌の培養検査をしました。

その時は、細菌と好中球がたくさんでていたので、皮膚の細菌感染の治療をしまし

た・・・(皮膚糸状菌は陰性でした!)

んが!!治らず・・・・痒みがどんどん強くなる様でした。

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肢の裏までボコボコに!ん・・これは・・

そこで追加検査でゴリゴリと掻把(そうは)し、、顕微鏡で見たところ・・

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ダニ!!発見!

そう、、ダニが住み着いていました。原因は、疥癬(かいせん)でした。

最初に発見してあげられず可哀想なことをしました。

疥癬は、ネコショウセンコウヒゼンダニの寄生による皮膚疾患です。

ダニは、表皮の角質層に寄生し、虫道(疥癬トンネル)を作ります。

このヒゼンダニは猫が大好きなので、猫同士の接触により感染していきます。

屋外にでる猫ちゃんの場合は感染機会が増加します。

また、ペットショップ・保護施設での感染も時にはみられます。

角質層に潜んでいるので、皮膚掻把(そうは)検査を行わないと見つかってこない場合

があります。

治療としては、滴下式の駆虫薬を用います。

用いる製剤にもよりますが2週間ごとに6週続けます。同居猫がいる場合はその子も同

時に駆虫を行わなくてはなりません。

基本的に、原因が疥癬のみであれば治療によく反応します。ただ、外にお出かけし感染

してしまった子に関しては、改善後も月に1度の予防薬の塗布をおススメしています。

久しぶりの猫疥癬でした!

強い痒みの原因がわかって安心しました。

眼が見えてない?

副院長の佳瑛子です。

新型コロナウイルス感染症が急激に増えていますね。

マスクの着用、手洗い、3密を避けて感染症に負けないように過ごしたいですね。

病院の受付に以前までは、手動のアルコール消毒でしたが、手をかざすタイプに変更し

ましたので、皆さんご来院の際は、是非ご使用下さいね。

(70%アルコールなので手荒れに注意です!)

 

この間、「なんだか、急に眼が見えてなさそう・・・」と12歳の猫ちゃんが来院されました。

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散瞳しているのがわかりますか?

診察台の上でも、キョロキョロしている感じでやはり見えてなさそうです。

「猫・高齢・眼が見えない」と揃うと、まず疑いたくなるのは高血圧です。

まずは、一般の眼科検診をしました。

光をまぶしがる反応(眩目反射)や、手をかざした時に目をつぶる反応(威嚇反射)は

ありませんでした。眼底検査をしたところ・・・

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眼底出血

眼底出血と一部、網膜剥離が見られました。

(普通の携帯で横からとっているので綺麗な写真じゃなくてすみません。)

この様な所見からも、やはり高血圧を疑います。

猫の高血圧の原因としては、腎疾患、甲状腺機能亢進症、副腎皮質機能亢進症、

糖尿病、原発性アルドステロンなど。があります。

特に腎疾患の症例が多いように感じます。

この猫ちゃんも、やはり高血圧でした。

さらには腎疾患もみつかり、両方をケアする降圧剤を処方しています。

早期に発見された、高血圧による視覚障害は、改善することもありますが、残念ながら

視覚が戻らないこともあります。

ただ、高血圧であることは体全体にとってもいいことではないですので、治療を続ける

ことにはなります。

高血圧は、なかなか見た目では判断できません。

そのため、中高齢になり特に腎疾患、甲状腺疾患のある子は、定期的に血圧を測定しま

しょう。動物の血圧は、前肢や後肢や尻尾で測定します!

 

11月23日月曜日は、勝手をいいますがお休みさせて頂きます。

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転んだら鼻水砂絵ができてました!



「黒いうんち」は何のサイン??

副院長の佳瑛子です。

最近、寒くなってきましたね。北海道育ちの娘は、まだ寒くないと言っていますが・・

私たちも11月に雪の気配を感じないので安心しています。

 

「黒いうんち」は、工場などででるコールタールに似ているのでタール便と呼ばれたり

もします。ドロドロとした形状の黒いタール便が出るときは、胃や十二指腸、食道など

肛門から離れた部分で出血が起こっている可能性があります。

写真は、猫ちゃんの便です。

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真っ黒なうんち

この子は、前日に真っ赤な血を吐いています。

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この子は、1歳2か月という若さでしたが胃に腫瘤ができていました。

タール便=胃の腫瘍(や腫瘤)では、ないですからね。

 

タール便は、先程お話した通り、食道・胃・十二指腸からの出血で起こりますが、その

部位が出血する理由は様々です。

内臓疾患・腫瘍・免疫介在性疾患・異物の誤飲など。

そのため、タール便かな??と疑問に思った場合は、まずはうんちを持って来て下さ

い。その時の状況によって、血液検査・レントゲン・エコー・バリウム検査などをご提

案します。

毎日のうんちの色も健康チェックの一つとして確認してくださいね。

 

この間、紅葉を見に行ってきました。まだ、少し早かったですが綺麗でしたよ♪

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ライン下りしました!娘は怖さに号泣。息子は川に飛び込みそうでした!

 

VALVE trialについて

otsuka-ah.jp

 

今回は2020年9月18日に公表された以下の論文を紹介します。

Efficacy of adding ramipril (VAsotop) to the combination of furosemide (Lasix) and pimobendan (VEtmedin) in dogs with mitral valve degeneration: The VALVE trial

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/jvim.15863

なお、このサイトでは本文全てを紹介していないので、内容や解釈にはバイアスが生じます。詳しい内容は本文をお読みください。

 

背景と目的

アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)をピモベンダンとフロセミドに追加することは有益な治療であると期待されている。ACVIMガイドラインでは慢性うっ血性心不全(CHF)の犬においてACEI、ピモベンダン、フロセミドのTriple治療を推奨している(1)。しかし、前向き研究のエビデンスは不足している。従って、本研究ではCHFを発症した僧帽弁粘液腫様変性(MMVD)の犬の死亡率と予後に関して、ACEI(ラミプリル)をDual治療(ピモベンダン、フロセミド)に追加することで有益な効果が得られるかどうかを評価した。

 

方法

  • 研究期間:2005~2015年
  • 対象(エントリー基準)
    1. 椎骨心臓サイズ(VHS)>10.5
    2. 明らかな収縮期雑音がある
    3. 30日以内に最初の心原性肺水腫(CPE)を発症
    4. 心エコー図検査でMMVDの診断を受けている
    5. 左心房/大動脈径(LA/Ao)比>1.5と体重標準化左室拡張末期径(LVIDDN)>1.7を満たす
    6. 5歳以上
    7. 体重が5~20kg
  • 除外基準:MMVD以外の心疾患や全身性疾患を有する犬
  • デザイン
    前向き、単純盲検、無作為、多施設研究 ブロックランダム化によって2群のn数を均等に割り付け、群分けはコンピューターによって割り当てた。
  • 盲検化
    担当獣医師は内服内容を知らない。飼い主は担当獣医師とは別の調剤士から薬剤を受け取り、内服内容を口外することは禁止された。
  • 内服
    Dual群はピモベンダンとフロセミドを処方した。 Triple群はピモベンダンとフロセミドに加えラミプリルを処方した。 ピモベンダン: 0.2-0.3 mg/kg, PO, q12h ラミプリル: 0.125-0.25 mg/kg, PO, q24h 担当獣医師が臨床的に必要性を判断した場合に、ラミプリルの投与頻度を2倍に増やした。ACEIを内服中の犬の場合、Dual群に分けられた犬はACEIを中止し、Triple群に分けられた犬はラミプリルに切り替えた。カルシウムチャネル拮抗薬、キサンチン誘導体、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、他のACEIを除く全ての薬の使用は許可された。
  • 検査スケジュール
    7日、28日、3ヶ月後、その後は3ヶ月毎
  • エンドポイント
    心不全死、安楽死、治療不全をエンドポイントと判定し、生存期間は試験開始日からエンドポイントに達した時点とした。 治療不全はフロセミド(15mg/kg/日)とスピロノラクトン(4mg/kg/日)を内服しても呼吸困難、腹水、悪液質、運動不耐が継続する場合に判定した。

結果

  • Dual群は77頭、Triple群は79頭がエントリーした(合計156頭)。
  • 2群間にはACEIの事前服用の割合にのみ有意差がみられた。Dual群の20頭(26%)とTriple群の35頭(44.3%)が研究開始前にACEIを内服していた。
  • 全体で136頭(87.2%)がエンドポイントに達した。この内、82頭(52.6%)が難治性心不全のため安楽死となり、47頭(30.1%)は心不全死であり、7頭(4.5%)は治療不全のためエンドポイントと判定された。全体におけるエンドポイントまでの期間は214日(168-259日)であった。
  • 2群間の比較において、エンドポイントに達するまでの中央値に有意差はみられなかった(Dual群:227日 vs Triple群:186日)。

考察

  • 我々の研究は、Dual治療へのACEIの追加は心臓死、安楽死、または治療不全までの期間(中央値)を延長しなかったことを示している。統計的に有意差はなかったが、エンドポイントまでの期間はDual群で1ヶ月以上長くなった。この結果は過去のQUEST研究の中央生存期間(267日)と同等である(2)。
  • 過去の論文と比べて
    IMPROVE研究とCOVE研究(3, 4)ではMMVDに加えて拡張型心筋症がエントリーしており、ACEIは拡張型心筋症の心不全クラスおよび肺水腫スコアで顕著に有益な短期的有効性を示した。また、BENCH研究におけるACEI群の中央生存期間は436日であり、他の臨床試験よりも顕著な延命効果を示している(3)。しかし、この研究には利尿薬を飲んでいない犬も含まれており、これは対象犬が心不全ではなかったことを示唆している。このことが他の臨床研究に比べて、BENCH研究で生存期間が長かった理由かもしれない。
  • 心不全患者(人医療)におけるACEIの使用について
    アメリカやヨーロッパのガイドライン(5, 6)では心不全患者へのACEIの使用を推奨している。しかし、1000人を超える患者が関与するメガトライアルをまとめて検証したreviewでは、「ACEIまたはARBは血圧に依存しない心血管保護の概念に疑問が残る」と記している(7)。
  • 今回の研究でACEIに有効性がみられなかった点について
    犬では高血圧がヒトの様に一般的ではないので、ピモベンダンにACEIを追加しても効果が得られなかったのかもしれない。また、使用されたACEIの血管拡張作用は、ピモベンダンの血管拡張作用によってマスクされた可能性がある。このために、2群間で生存期間に有意差がなかったのかもしれない。従って、MMVDの犬ではピモベンダン治療へのACEIの追加は必須ではない。
  • ACEIの事前服用について
    Triple群では試験開始前にACEIを事前服用している症例が多かったが、多変量コックス比例ハザード分析ではACEIの事前服用は生存期間に影響しなかった。

 

制約

  • 人医の臨床研究と比べると小規模な研究である。
  • 単純盲検試験であり、飼い主はブラインドされていない。ただし、薬剤は調剤士を通して飼い主に配給されたので、担当獣医師のバイアスは懸念事項ではないと考えられる。
  • 血圧測定は行っていないが、犬はランダムに群分けされたため、高血圧や低血圧は両群に影響すると予想される。また、高血圧を引き起こす基礎疾患は最初に除外している。
  • 獣医師の裁量で両群にフロセミドの増量、スピロノラクトンの追加が許可され、 (Dual群以外は)ラミプリルの変更が許可された。研究前にACEIを投与されていたDual群の犬におけるACEIの休薬、またはTriple群の犬における他のACEIからラミプリルへの切り替えは制限となる可能性がある。長期に処方されていた薬の休薬は犬に有害な影響を与える可能性があるが、私たちの研究では、これは主にDual群に影響した可能性がある。一方、ACEI製品の変更はおそらく問題が少ないはずである。しかし、Triple群の予後はDual群より優れていなかった。

 

この論文を読んで

  • 今回の論文は心不全(心原性肺水腫)を発症した僧帽弁閉鎖不全症犬において、標準治療であるピモベンダンとフロセミドにACEI(ラミプリル)を追加しても、付加的なメリットがないことを示しました。また、別の論文では心原性肺水腫の既往歴がない無徴候性のMMVD犬においても、ACEI(エナラプリル)は心不全の発症を遅らせないことが示されています(8, 9)。これらのことから、MMVD犬へのACE阻害薬は必要性ないかもしれません。一方で、内科治療の目的は「生存期間の延長や心不全の発生を遅らせること」だけではない事にも注意が必要です。心不全治療における薬の有効性には臨床徴候の緩和や合併症(腎機能障害や悪液質、肺高血圧症など)の軽減、心不全の再発率や入院率の低下、入院期間の短期化など、様々な効果を総合的に判断する必要があるのではないでしょうか。
  • フロセミドについて 両群共に研究開始時のフロセミドの用量は8mg/kg/日と日本国内では考えられない高用量を内服しています。フロセミドをこれだけの用量で内服すれば、脱水や電解質失調がみられるはずですが、副作用が出ないのは不思議ですね。
  • ACEIの事前服用について 試験開始前にACEIを服用している症例がエントリーしていることは本当に結果に影響しないのでしょうか?本研究では多変量コックス比例ハザード分析を行って、影響がないとコメントしていますが、本来であればACEIを服用していない症例を対象にするべきです。

参考文献

  1. Keene BW, Atkins CE, Bonagura JD, Fox PR, Haggstrom J, Fuentes VL, Oyama MA, Rush JE, Stepien R, Uechi M. ACVIM consensus guidelines for the diagnosis and treatment of myxomatous mitral valve disease in dogs. J Vet Intern Med 2019; 33: 1127-1140.
  2. Häggström J, Boswood A, O'Grady M, Jöns O, Smith S, Swift S, Borgarelli M, Gavaghan B, Kresken JG, Patteson M, Ablad B, Bussadori CM, Glaus T, Kovacević A, Rapp M, Santilli RA, Tidholm A, Eriksson A, Belanger MC, Deinert M, Little CJ, Kvart C, French A, Rønn-Landbo M, Wess G, Eggertsdottir AV, O'Sullivan ML, Schneider M, Lombard CW, Dukes-McEwan J, Willis R, Louvet A, DiFruscia R. Effect of pimobendan or benazepril hydrochloride on survival times in dogs with congestive heart failure caused by naturally occurring myxomatous mitral valve disease: the QUEST study. J Vet Intern Med 2008; 22: 1124-1135.
  3. The effect of benazepril on survival times and clinical signs of dogs with congestive heart failure: Results of a multicenter, prospective, randomized, double-blinded, placebo-controlled, long-term clinical trial. Journal of veterinary cardiology : the official journal of the European Society of Veterinary Cardiology 1999; 1: 7-18.
  4. Group. TIS. Acute and short-term hemodynamic, echocardiographic, and clinical effects of enalapril maleate in dogs with naturally acquired heart failure: results of the Invasive Multicenter PROspective Veterinary Evaluation of Enalapril study. The IMPROVE Study Group. J Vet Intern Med 1995; 9: 234-242.
  5. Yancy CW, Jessup M, Bozkurt B, Butler J, Casey DE, Jr., Colvin MM, Drazner MH, Filippatos GS, Fonarow GC, Givertz MM, Hollenberg SM, Lindenfeld J, Masoudi FA, McBride PE, Peterson PN, Stevenson LW, Westlake C. 2017 ACC/AHA/HFSA Focused Update of the 2013 ACCF/AHA Guideline for the Management of Heart Failure: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Clinical Practice Guidelines and the Heart Failure Society of America. J Am Coll Cardiol 2017; 70: 776-803.
  6. Ponikowski P, Voors AA, Anker SD, Bueno H, Cleland JGF, Coats AJS, Falk V, González-Juanatey JR, Harjola VP, Jankowska EA, Jessup M, Linde C, Nihoyannopoulos P, Parissis JT, Pieske B, Riley JP, Rosano GMC, Ruilope LM, Ruschitzka F, Rutten FH, van der Meer P. 2016 ESC Guidelines for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failure: The Task Force for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failure of the European Society of Cardiology (ESC)Developed with the special contribution of the Heart Failure Association (HFA) of the ESC. Eur Heart J 2016; 37: 2129-2200.
  7. Düsing R. Mega clinical trials which have shaped the RAS intervention clinical practice. Therapeutic advances in cardiovascular disease 2016; 10: 133-150.
  8. Atkins CE, Keene BW, Brown WA, Coats JR, Crawford MA, DeFrancesco TC, Edwards NJ, Fox PR, Lehmkuhl LB, Luethy MW, Meurs KM, Petrie JP, Pipers FS, Rosenthal SL, Sidley JA, Straus JH. Results of the veterinary enalapril trial to prove reduction in onset of heart failure in dogs chronically treated with enalapril alone for compensated, naturally occurring mitral valve insufficiency. J Am Vet Med Assoc 2007; 231: 1061-1069.
  9. Kvart C, Häggström J, Pedersen HD, Hansson K, Eriksson A, Järvinen AK, Tidholm A, Bsenko K, Ahlgren E, Ilves M, Ablad B, Falk T, Bjerkfås E, Gundler S, Lord P, Wegeland G, Adolfsson E, Corfitzen J. Efficacy of enalapril for prevention of congestive heart failure in dogs with myxomatous valve disease and asymptomatic mitral regurgitation. J Vet Intern Med 2002; 16: 80-88.