子猫の下痢(コクシジウム症)

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子生後5ヶ月齢のマンチカンが2週間ほど前からの下痢で来院しました。

最初は細菌性下痢と診断し、抗生剤と整腸剤を処方しましたが、下痢が治まらないということでした。

 

下痢の原因には以下のような様々疾患が考えられます。

急性下痢の原因

 

慢性下痢の原因

  • 炎症性腸疾患(IBD)
  • 蛋白漏出性腸症
  • リンパ管拡張症
  • 食物アレルギー
  • 慢性膵炎
  • 膵外分泌不全
  • 肝性脳症

 

子猫には元気・食欲があり、体重は2.76 kgでしたが、ウンチには形がなく粘液が混ざっていました。f:id:otsuka-ah:20200624091200j:plain

糞便検査(直接法と浮遊法)を行ったところ、コクシジウムが検出されました。

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コクシジウムとは

コクシジウム(Isospora felis)は直径40×30μmほどの小さな寄生虫(原虫)で、円形で薄い卵殻を持ち、半透明で虫卵内容は単一の卵細胞であることが特徴です。

感染経路

主に経口感染によって感染し、腸管粘膜細胞に寄生・増殖します。

コクシジウムは糞便中にオーシストと呼ばれる虫卵を排出します。オーシストは排出直後には感染力がありませんが、時間が経つと感染力を獲得します。また、環境中で長期間生存でき、感染力が強いことも特徴です。

オーシストは糞便を踏んだ足🐾によって拡散されるため、糞便で直接汚れていなくても、手足や身体を毛繕いしたり、おしりを舐めたりすることで感染します。また、一度治療しても環境中のオーシストから再び感染することがあります(自家感染)。

同居猫がいる場合には、高率に感染します。

 

症状

体力のある成猫では感染しても無症状なことが多いのですが、体力のない子猫では重症化することがあり、血便や脱水、貧血、栄養失調、体重低下などの症状を起こします。

 

治療

通常は以下の駆虫薬で改善がみられます。

  • サルファ剤
  • メトロニダゾール
  • トルトラズリル

子猫や重度な下痢で体重減少や脱水がみられる場合は、皮下補液などの対症療法が必要です。

 

予防

オーシストが感染力を持つ前に、糞便は直ぐに処理してください。

また、わずかでも糞便で汚れたトイレ、寝具、食器、おもちゃなどは熱湯で消毒することが有効です。