副院長の佳瑛子です。
毎回、副院長の~と言ってますが、病院で副院長!と呼ばれることはなく、佳瑛子(かえこ)先生と呼ばれています。ので、女の先生orかえこ先生で大丈夫です。
今日の題名は、何とも長い病名になっていますが、眼の病気についてのお話です。
自発性慢性角膜上皮欠損、通称スケッズは、簡単に言うと繰り返す角膜潰瘍(角
膜の傷)です。
角膜は、大きく分けると4層(上皮⇒実質⇒デスメ膜⇒内皮)からなっています。
角膜潰瘍は、その傷のできる深さや場所で治療方法も異なってきます。
一番表面の上皮が傷ついてしまうことは、よくあるのですが、基本は7~10日間程で
治ってきます。
しかし、スケッズの場合は、軽傷であるはずの角膜上皮の傷が治らない・・
厳密にいうと治ってみえるけども、またすぐ角膜上皮がめくれてしまう病気です。
病態としては、角膜上皮と実質の接着障害によって起こります。
治そうと上皮がのっかてきても引っつかない状態です。
犬種的には、ボクサー、ボストン・テリア、フレンチ・ブルドッグ、コーギー、ゴール
デン・レトリーバーなどに好発します。
点眼処置だけでは、なかなか治らない角膜潰瘍の場合に、スケッズを疑います。
治療としてはまずは、上の写真のように、綿棒で角膜上皮を取り除く処置を行
います。
その後、注射針の先端を曲げ角膜上皮に傷をいれます。
(格子状角膜切開術といいます。)
この様に、角膜にわざと傷をいれることで、角膜上皮が実質にひっかかりやすくなり
角膜潰瘍が修復していきます。
点眼麻酔にて実施することも可能ですが、動いてしまう場合は鎮静下で処置することも
あります。
処置後はしばらく痛みが出るのでコンタクトレンズやエリザベスカラーの装着、点眼処
置の実施をお願いしています。
皆さん、急激に寒くなっています。体調には気を付けてお過ごしください!
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